身体で起きること
タイミングがズレる → 表面の筋肉が頑張りすぎる(過緊張) → トリガーポイント(T)が出やすい → 局所の圧が上がりやすい → 滑走(G)が落ちやすい、という連鎖が起こり得ます(確立した因果というより、臨床仮説として扱います)。
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インナー機能不全とは、深層筋(インナーマッスル)が必要な場面で・必要なタイミングで・必要な強さで働けず、姿勢保持(静的)と動作中の安定化(動的)が崩れやすくなる状態です。GIFTメソッドの「I」にあたり、施術で作った変化(痛み・可動域・滑走・フォーム)を"戻りにくい状態"に固定化するプロセスとして位置づけられています。
ポイントは「筋力が強い・弱い」ではなく、神経制御(タイミング)と持久性(支え続ける能力)の2軸。giversが特に重視するのは腸腰筋(骨盤と背骨をつなぐ深層筋)と腹横筋(お腹を内側から支えるコルセット筋)です。
監修:安藝泰弘(修士〈スポーツ健康科学〉/株式会社givers代表取締役CEO/PLOS ONE掲載研究者)
I = インナー(Deep Muscles / Local System)とは、一般にインナーマッスルと呼ばれる深層筋(Deep Muscles)、および関節の安定性を担うローカル筋へのアプローチです。これらの筋が、必要な場面で・必要なタイミングで・必要な強さ/持続で働けず、姿勢保持(静的)と動作中の安定化(動的)が崩れやすくなる状態を「インナー機能不全」と呼びます。
ポイントは「筋力が強い/弱い」だけではなく、
神経制御(タイミング)と持久性(支え続ける能力)です。
giversメソッドの「インナー」は、施術で作った変化(痛み・可動域・滑走・フォーム)を"戻りにくい状態"に固定化する工程として位置づけます。インナーがフォーム(F)の安定装置として働くほど、代償が減り、結果としてトリガーポイント(T)や滑走障害(G)に発展しにくい身体条件が整います。
これらのサインは、腰痛が繰り返す方や、肩こりが慢性化している方に多く見られるパターンです。
臨床でブレないように、giversではインナー不全を 「タイミング」 と 「キャパシティ(支える能力)」 の2系統で整理します。
概念モデル:安定性 ≒ タイミング(いつ入るか) × キャパシティ(どれだけ支えられるか)
どちらかが落ちると"安定"は成立しません。
神経制御の遅れ・ズレ
定義
動作の前(または動作中の要所)で入ってほしい安定化が入らず、関節が"遊ぶ"ことで、表面の筋肉(代償筋)が先に働いてしまう状態。
たとえば、腹横筋は腕や脚を動かす前に自動的に働き、体幹を安定させる役割があります。これを「フィードフォワード(予測的)」な活動と呼びます。腰痛のある人では、このタイミングが遅れるという報告があります(ただし、すべての人に当てはまるわけではなく、パターンは多様です)。
身体で起きること
タイミングがズレる → 表面の筋肉が頑張りすぎる(過緊張) → トリガーポイント(T)が出やすい → 局所の圧が上がりやすい → 滑走(G)が落ちやすい、という連鎖が起こり得ます(確立した因果というより、臨床仮説として扱います)。
介入の狙い
"スイッチを入れる"。小さく正確にインナーが入り、動作につなげられる状態を作ります。
支える力・持久性の不足
定義
入るべき時に入っても、支え続けるだけの持久性・筋肉の厚み・協調が足りず、すぐ崩れてしまう状態。
背骨の安定は、骨・靭帯などの受け身の構造だけでなく、筋肉(能動的に動く部分)と神経制御が協調する"システム"として働いています。キャパシティが不足すると、タイミングが良くても最後は崩れてしまいます。
giversが重視する2つの筋肉:腹横筋 × 腸腰筋
腹横筋(ふくおうきん)
お腹の一番深い層にあり、天然のコルセットのように体幹を内側から支えます。体幹の安定化で中心的に議論される筋肉です。
腸腰筋(ちょうようきん)
背骨と骨盤、そして太ももをつなぐ深層筋。股関節を曲げる主力でありながら、腰椎にも付着しており、安定化にも関与し得るとされます。ただし"安定筋か否か"は議論があり、だからこそ評価が必要です。
骨盤帯の安定は、筋肉が協調して働くことで関節の"締まり"が良くなる(力の閉鎖)という枠組みでも議論されます。一方で、単純化しすぎない視点も大切です。
介入の狙い
"支え続けられる身体"にする。フォーム(F)が崩れない土台を作ります。
Timing(タイミング)が崩れると、表面の筋肉が代償して疲れ、Capacity(支える能力)まで落ちやすくなります。
逆にCapacityが弱いと、脳は「守るために」表面優位のパターンに寄せ、タイミングの精度も荒れやすくなります。
つまり 相互に悪化し合う ので、giversでは「起動(タイミング)」と「定着(キャパシティ)」をセットで扱います。
| 項目 | ① Timing Lock(タイミング) | ② Capacity Lock(キャパシティ) |
|---|---|---|
| 主な問題 | 入るのが遅い/ズレる | すぐ崩れる/保てない |
| 体感 | "使えてない感じ" | "すぐ疲れる・持たない" |
| 代償パターン | 表面の筋肉が過活動になりやすい | フォームが後半で崩れる |
| 介入の第一手 | スイッチ(起動) | 支え続ける(定着) |
体幹は「手足のための土台」です。土台が不安定だと、手足は力を出すために余計な筋緊張を必要とし、フォームが崩れます。
結果として、トリガーポイント(T)や滑走の破綻(G)が起きやすい条件になります。
この「土台の安定 → 手足がスムーズに動く」という考え方は、体幹トレーニングの分野でも繰り返し言及されています。腰痛や肩こりが繰り返す場合、この土台の不安定さ(インナー機能不全)が根本原因の一つである可能性があります。
EMS(電気で筋肉を刺激する機器)は、自分の意思だけでは動かしにくい深層の筋肉を動員できるという点で、インナーの"起動補助"として相性が良いです。
研究では、お腹へのEMSで腹筋群のサイズが変化した報告や、運動にEMSを上乗せした効果を検証した研究もあります。
ただし重要なのは、EMSは運動の代替ではないという点です。EMSは便利ですが、運動そのものが持つ心肺機能・血管・協調性などへの効果は置き換えにくいとされています。
脚上げテスト、片脚立ち、しゃがみ、歩行で「骨盤のブレ」「肋骨の開き」「腰の代償」「主観の安定感」がどう変わったかをその場で確認
EMSは"効く"分だけ、やり方を間違えるとリスクがある領域です。
giversとしては、「低〜中強度から開始 → 少しずつ上げる → 運動へ統合」を基本にし、目的が"筋肥大"なのか"起動"なのかを分けて設計するのが安全です。
安藝 泰弘修士(スポーツ健康科学)
株式会社givers 代表取締役CEO
東亜大学大学院にて修士号取得。肩甲骨の非対称性と肩こりの関係に関する研究でPLOS ONE(国際学術誌)に論文を掲載。全国160院以上・累計85万件以上の施術実績を持つgiversこころ整体院グループを統括。
インナーは「ドローイン(お腹をへこませる)」だけで鍛えられますか?
ドローインは起動のきっかけとしては有効ですが、それだけでは不十分です。最終的には歩行やしゃがみなどの実際の動作の中で「先に入る→保てる」へつなげないと、フォーム(F)は戻りやすくなります。giversでは動きの中で再学習することを重視しています。
腸腰筋は硬くなるから鍛えない方が良いですか?
「硬い=悪」ではなく、必要な可動と必要な安定の両立がテーマです。腸腰筋は安定化への関与が議論される筋なので、giversでは「その人に必要かどうか」を評価した上で取り入れます。硬さが問題なのか、使えていないことが問題なのかを見極めることが大切です。
EMSだけでインナーは改善しますか?
EMSだけでの改善は推奨していません。EMSには深層筋を動員できるという利点がありますが、運動が持つ広い効果(協調性、持久性、呼吸、心肺機能など)は置き換えにくいとされています。giversではEMSを「起動補助・上乗せ」として位置づけ、必ず運動との組み合わせで使用します。なお、妊娠中やペースメーカー使用者など禁忌対象の方もいるため、事前スクリーニングが必須です。
インナーを改善すると他のGIFT要素(T・G・F)にも効果がありますか?
インナーが適切に働くと、表面の筋肉の過活動(力み)が減りやすくなります。その結果、局所の圧が悪化しにくくなるため、トリガーポイント(T)や滑走障害(G)の「発生条件」を作りにくくなります。またインナーがフォーム(F)の安定装置として機能するため、姿勢の崩れも起きにくくなります。
インナー機能不全はどのような症状と関連がありますか?
インナー機能不全は、腰痛(特に繰り返す慢性腰痛)、骨盤の不安定感、姿勢の崩れ(猫背・反り腰)、肩こり、膝の痛みなどの背景因子として関与し得ます。「施術直後は良いが数日で戻る」というパターンは、インナーの固定化不足が原因の一つとして考えられます。
強いしびれの進行、筋力低下、膀胱・直腸の障害、外傷後の著しい腫れや熱感、発熱、夜間痛の増悪などがある場合は、別の要因が関与している可能性があります。
またEMSは禁忌・注意事項があるため、既往歴や体内機器の有無などのスクリーニングは必須です。無理をせず、必要に応じて医療機関へ相談してください。
以下の症状でお悩みの方は、インナー機能不全が背景にある可能性があります。
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